訴訟を起こす前に保全のため「仮差押え・仮処分」ができる
・事前に財産を調査し保全処分をしておくもし、あなたが債務者で、債権回収訴訟を起こされたとします。今、不動産等の資産があったとしても、訴訟で負け強制執行がされると、それすら持っていかれてしまいます。そんな場合に、行われがちなのが先手をとって不動産の名義を変えたり、財産を他に譲渡してしまうことです。こうしておけば、たとえ訴訟に負けても強制執行の対象にならないので被害は少なくて済みます。このような手段を封じる制度が、仮差押えや仮処分です。これらを総称して保全処分と言っています。仮差押えは、金銭債権によって強制執行をする場合に備えて、あらかじめ相手の財産(換価可能なものはすべて対象となる)を、仮に差し押さえておくものです。仮処分は、金銭債権以外の請求権の強制執行に備えて、対象となる物の現状維持を図るために行われるもの(係争物に関する仮処分)と、争いのある権利関係について暫定的に一定の地位を与えておくもの(仮の地位を定める仮処分)とがあります。このような財産の保全処分は、訴訟や民事調停の場合には当事者の申立により、家事調停・審判の場合には裁判所の判断によって行われます。 ・疎明は訴訟における証明より簡単でよいこれらの保全処分ができる要件は、①保全処分を行える権利者であること、②保全処分を行う必要性があること、③これらの事実について一応確からしいと思われる程度の証明(疎明という)ができること、です。保全処分は、訴訟などにより権利が確定するまでに一定の処分をするわけですから、万一、不当な申立であれば、相手方がそのことで損害を被るかもしれません。そのために裁判所では、損害の担保として一定額の保証金を立てさせます。仮差押えは、急を要する場合が多いので、債権者が申立書を提出すると、その日のうちに申立人と面接して、仮差押えを出すかどうかを決めます。その際に、保証金の額も定められ、申立人はこれを供託して供託書を裁判所に提出すると仮差押決定が出されます。仮処分の手続きも、仮差押えとほぼ同様です。⭐︎ポイント強制執行を空振りさせないために保全処分を。