地主が改築などに応じない場合は「借地非訟事件手続き」を活用
・裁判所が地主に代わって許可をしてくれる制度がある借地非訟事件手続きは、借地に関する訴訟ができない種類の特定の事件について、当事者の申立について、簡易・迅速に解決を図る制度です。訴訟が当事者の主張した事実に基づいて裁判官が判断を下すのに対して、非訟事件の特色は、職権探知主義がとられ、裁判官は職権で事実の探知と証拠調べをすることができ、また不動産に関する専門知識を必要とするところから、鑑定委員会が設けられ、裁判所は必ず意見を聞くことになっている点です。通常の借地契約書には、借地人が借地上の建物を増改築したり、賃借権の譲渡や転貸をする場合には、地主の承認を要する旨が書かれています。地主がすんなり承諾してくれればいいのですが、高額な承諾料を要求したり、場合によっては契約解除をするなどと言ってくるケースも皆無ではありません。倍地非訟事件手続きは、このような場合に、裁判所が、借地権の残存期間、土地の状況、従前の経過その他一切の事情を考慮して、地主の承諾に代わる裁判所の許可を出してくれるものです。当事者間の公平を図るために必要があるときは、新たな借地期間を定めたり、借地条件を変更したり、財産上の給付(地主の承諾料)の付随処分がなされます。 地主に支払う承諾料は更地価格の10%の内外が多い借地非訟事件の対象となるのは、以下の場合です。①借地条件の変更の申立②増築、改築の申立③借地契約更新後の再築許可の申立④建物の譲渡に伴う土地賃借権譲渡・転貸許可の申立⑤競売・公売に伴う土地賃借権譲受許可の申立申立は、土地の所在する地方裁判所(当事者の合意により簡易裁判所も可)です。適法な申立であれば、申立書は相手方に送達され、相手方は答弁書を提出することになります。同時に、審問期日が指定されます。審問では、当事者の陳述を聞き、また職権で事実の探知や証拠調べをします。鑑定委員に鑑定書の提出を求めます。錯定書が出ると双方に和解勧告が出され、話し合いになることもよくあります。話し合いで解決しない場合には、付随処分を記した決定の裁判書(判決書とほぼ同じ)が出され、手続きは終了します。肝心の、財産上の給付はいくらぐらいが相場かですが、個々の事件ごとに裁判所で決められますので断定はできませんが、土地の更地価額の10%の相当額で決められるケースが多いようです。ポイント裁判所の決定に不服の場合は、告知を受けたときから2週間以内に抗告により行う。