プライバシーを侵害した場合にどのような責任を負うかプライバシー侵害をした場合はどのような責任を負うことになるのでしょうか。
口刑法上の責任探偵・興信所が調査活動を行う際にも、刑法その他の法律を守らなければならないことは、法治国家として当然のことです。刑法等の刑罰法規に反する行為をすれば懲役刑・罰金刑等の刑罰が科されます第二部第二章Q2参照。刑法で規定されている犯罪の中でプライバシーに関するものは以下のものがあげられます。調査の目的が正当であったとしても、調査の方法が以下の犯罪行為に当たる場合には、罰せられることになります。①勝手に他人宛ての手紙の封を開ける行為書開封罪、刑法一三三条。一年以下の懲役または二〇万円以下の罰金②医師や弁護士等が業務上知った人の秘密を掃らす行為秘密漏示罪、刑法一三四条六カ月以下の懲役または一〇万円以下の罰金人の住居に購手に侵入する行為住居侵入罪、刑法一三〇条三年以下の懲役または一〇万円以下の罰金刑法以外の法律でも、たとえば郵便物を勝手に放棄したり、受取人でない人に渡した場合には便法七七条に違反し、盗聴により通信の秘密を侵害した場合には電気通信事業法四条や電波法10九条等に違反することになります。口民法上の責任また、プライバシー侵害は民法上の不法行為民法七〇九条に該当しますので、プライバシー侵害を受けた者はプライバシー侵害を行った者に対して不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。たとえば、住居等に無断で侵入されたり、のぞき見や盗聴をされた場合、家庭内の事情や、思想信条に関する事項、病歴や財産関係、出自等他人に知られたくない事項を公開された場合等は、不法行為として損害賠償請求ができます。ただし、プライバシーの保護は「表現の自由」憲法二一条と対立関係になる場合もあります。たとえば、政治家のプライベートな事項は、本人がその公開を望まなくとも、有権者が一定の範囲で関心をもち、投票の際の参考にすることは重要なことですから、有権者の知る権利に応えるという観点から公開が許される場合があるのです。どこまでが表現の自由として認められ、どこからはプライバシー侵害として許されないかは、個別の事案に応じ具体的に判断されることとなります。